やはり文字はこれ

いきなり登場した、iPhoneのアプリ。
産經新聞の紙面をまるごと読む事ができる、話題のやつです。

まさか紙の媒体がまるごと、しかも無料で提供されるなんて予想していませんでした。また使い勝手を予想するに、まるごとスキャニングした画像なんて重くて読めないだろうと考えて当たり前。

それが実際に使ってみると、意外と読みやすいような気がします。

そこですぐに思いついた事。

最近の若手のデザイナーなどが、読み物を制作しようとした際に、日本語の組版ルールを最低限でも理解している人が少なくなったということ。これは現場でよく目にすることでもあります。

その典型的な意見が「句読点などのアキが気になる」というもの。あと、例えば文章の段落まるごと欧文と同様にツメてしまう。

これはおそらくDTPソフト、それもIllustratorにツメができる機能がついたことから始まったと思うのです。グラフィカルな構図の取り方などは学校で勉強したりするものの、文字の組みに関してはほとんどがソフトまかせ。少しでも理解する以前にこういう楽な機能を当たり前のように使ってしまい、その結果に自ら慣れてしまう。そして結局感覚まで狂ってしまったように想像できます。

そんなわけで、本来プロであるはずのデザイナー自らが、いわばルール違反を犯してお金をもらっている。それが今の広告、出版(の一部)の現状です。

ところが、文字が主体の小説や新聞などは、こういうルールをきっちり守り通していました。なぜなら、読みやすいから。前述の適当にツメてしまった文章は読みづらいし、疲れます。

本来の目的は…読ませる事ですからね。

今回の産經新聞のアプリのユーザーからの評価を見ると、このしっかりした文字組みをした「紙の新聞」、そのレイアウトなどをあらためて再評価している側面もあると思います。

このあたり、思い当たる方、一般の人は素直に読む物は読みやすいほうが良い、という結果をどう捉えるのか、興味があるところです。

 

※ちなみにIllustratorなどのツメ機能というのは、本来は見出しなどに使うために(使わなければならない、というものではなく)簡単に作業しやすいようにある機能です。文章ものの基本は「ベタ組み」なのですから。

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